むし歯予防に効果的なフッ化物塗布|フッ化物が安全な理由と正しい家庭での応用方法について解説

フッ化物塗布とは?その効果と必要性

お子さんの定期検診などで「フッ素塗布をしましょう」と案内されたことはありませんか?
今回は、歯科医院で行う「フッ化物塗布」について、その効果・必要性・安全性をわかりやすくご紹介します。

フッ化物塗布とは?

フッ化物塗布とは、むし歯予防のために歯の表面にフッ化物を直接塗布する処置です。
市販の歯みがき粉にもフッ素は含まれていますが、歯科医院で塗布するフッ化物は高濃度(約9000ppm)。
そのため短時間でしっかりと歯にフッ素を取り込むことができ、ご自宅のケアでは得られない高いむし歯予防効果が期待できます。

フッ化物塗布の3つの効果

  1. 歯質の強化
    フッ化物が歯の表面に取り込まれることで、酸に強い「フルオロアパタイト」という硬い歯質に変化します。
    これにより、むし歯菌が出す酸への抵抗力が高まり、むし歯になりにくくなります。
  2. 再石灰化を促進
    食事のたびに歯の表面ではカルシウムやリンが溶け出す「脱灰」が起こります。
    フッ化物は、この脱灰後に失われた成分を戻す「再石灰化」を促進し、初期むし歯の進行を防ぎます。
  3. むし歯菌の活動を抑える
    フッ化物は、むし歯菌の酸をつくる働きを弱める効果もあります。
    むし歯の原因そのものを抑え、予防効果をより高めます。

どんな人にフッ化物塗布がおすすめ?

子どもにおすすめの理由

次のお子さまには、3~6ヶ月ごとの定期的なフッ化物塗布がおすすめです。

  • 生えたばかりの乳歯・永久歯がある
  • 歯みがきが苦手で、むし歯リスクが高い
  • 歯の溝が深く、食べかすが残りやすい
  • 歯並びが悪く、磨き残しが多い

大人・高齢者におすすめの場合

  • むし歯ができやすい方
  • 矯正治療中の方
  • 歯ぐきが下がり、根元が見えている方(根面むし歯予防)
  • 高齢で歯みがきが難しくなってきた方

フッ化物塗布の頻度

3~6ヶ月に1回の定期的な塗布が効果的です。
特に、歯が生え変わる6歳~12歳頃はむし歯リスクが高まるため、積極的なフッ化物塗布をおすすめします。

ご自宅でできるフッ化物ケア

年齢別・歯磨き粉のフッ化物濃度と使用量の目安

 

市販の歯みがき粉のフッ化物濃度について

日本では、1500ppmまでのフッ化物濃度の歯みがき粉が認可されていますが、多くの商品は1450ppmに設定されています。

その理由

  1. 製造上の安全マージン → 製造誤差で上限を超えないよう安全のため1450ppmに。
  2. 世界基準に合わせている → ヨーロッパやアメリカでも1450ppmが主流。
  3. 効果の差がほとんどない → 1450ppmと1500ppmのむし歯予防効果はほぼ同じ。

▶️ 1450ppmで十分なむし歯予防効果があります。安心してご使用ください。

正しい歯みがき粉の使い方

  • 歯みがき粉は適量(大人は1~2cm程度)
  • 1日2~3回、2分以上しっかり磨く
  • すすぎすぎない(少量の水で1回だけ)
  • 寝る前の歯みがきが特に大事

フッ化物塗布の安全性とよくある誤解

「フッ素」と「フッ化物」は違う

「フッ素」は自然界に単体で存在しない非常に反応性の強い気体の元素で、猛毒です。
しかし、歯科医院で使用するのはフッ素が他の物質と結びついた安定した形「フッ化物」であり、安全に利用できます。

フッ化物は適切な量なら安全

歯科医院で使用するフッ化物や市販の歯みがき粉は、国が定めた安全な濃度・量で使用されています。
過剰摂取によるリスク(フッ素症)も、大量のフッ化物を長期にわたり摂取した場合です。
ですので、適切な頻度と量で行えば心配ありません。

インプラントとフッ化物の関係について

天然歯と異なり、インプラントはチタンなどの人工物で構成されています。そのため、使用する歯みがき粉にも少し注意が必要です。

フッ素がインプラントに与える影響は?

フッ素には歯質を強化する作用がありますが、酸性のフッ素製剤(pHが5.5以下)はチタン表面に影響を与える可能性があると指摘されています。インプラントの表面を腐食させる恐れがあるため、注意が必要です。

中性フッ素(pH6.0〜7.0)の使用が安心

インプラント周囲の清掃にフッ素入り歯みがき粉を使用する場合は、中性タイプのもの(pH6.0〜7.0)を選ぶと安心です。市販されている多くの歯みがき粉は中性〜微アルカリ性で設計されていますが、インプラント専用や歯科医院推奨の製品を選ぶことで、より安全にケアができます。

インプラント周囲炎予防にも有効

インプラント周囲に起きる炎症(インプラント周囲炎)は、天然歯の歯周病と同じく細菌が原因です。中性フッ素を含む歯みがき粉は、バイオフィルム抑制・口腔内の細菌管理に役立つため、インプラントの長期安定のためにも活用できます。

不安な方はインプラント埋入後のメンテナンス時に、使用中の歯みがき粉の種類について歯科医師・歯科衛生士にご相談ください。

 

まとめ|フッ化物塗布でむし歯予防を習慣に

フッ化物塗布は、むし歯予防の強い味方です。

子どもの頃から定期的に行うことで、将来の歯の健康を守ることができます。
またむし歯リスクの高さに関わらず、フッ化物はどなたでもご自宅での歯磨き粉や歯科医院でのフッ化物塗布によりむし歯予防に効果的です。
当院では、一人ひとりのリスクに合わせたフッ化物塗布のタイミングをご提案しています。
気になる方は、お気軽にスタッフまでご相談ください。

 

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